
BMW M社の頂点に君臨するハイパフォーマンス・エグゼクティブセダン、「F90 M5」。
その心臓部には「4.4L V8ツインターボ(S63エンジン)」が搭載され、Mセダン初の四輪駆動システム「M xDrive」によって、純正でも最大635ps(CSモデル)というスーパーカーを凌駕する怒涛のパフォーマンスを発揮します。
しかし、BMWの技術の粋を集めたこのV8エンジンには、まだ解き放たれていない底知れぬポテンシャルが眠っています。ECUのセッティングを見直すことで、ベースグレードであっても「700馬力・850Nm」という、世界トップクラスのハイパーカー領域へと足を踏み入れることが可能です。
本記事では、プロのチューナーの視点から、BMW F90 M5におけるECUチューニングの驚異的なコストパフォーマンス、各メニューの費用、そしてオーナー様が気にする「車検」や「大トルクによる駆動系の故障リスク」について、忖度なしで徹底解説します。
1. BMW F90 M5(S63エンジン)の隠されたポテンシャル
F90 M5に搭載されている「S63(4.4L V8ツインターボ)」エンジンは、2基のタービンをVバンクの内側に配置するレイアウトを採用しており、極めて鋭いレスポンスと強烈なパワーを生み出す屈強な名機です。
F90 M5には「ベースグレード(600ps)」「コンペティション(625ps)」「CS(635ps)」という3つのモデルが存在しますが、実はエンジン本体やタービンなどの基本ハードウェアは共通です。メーカー側が主にECUの制御プログラムによって出力差を設けています。
2. ECUチューニングによる馬力・トルクの変化とメニュー
当店では、S63 V8エンジンの耐久性と、強烈なパワーを受け止める「M xDrive(4WD)」の許容トルクを緻密に計算したチューニングデータを作成・インストールします。
| グレード仕様 | 純正カタログ値 | Stage 1 (ノーマル対応) | Stage 2 (吸排気交換推奨) |
|---|---|---|---|
| ベースグレード | 600 ps / 750 Nm | 700 ps / 850 Nm | 740 ps / 900 Nm |
| Competition | 625 ps / 750 Nm | 700 ps / 850 Nm | 740 ps / 900 Nm |
| CS | 635 ps / 750 Nm | 700 ps / 850 Nm | 740 ps / 900 Nm |
※数値は車両の個体差や気候条件によって変動します。
Stage1を施工するだけで、全グレード共通で「700ps / 850Nm」という大台へ到達。四輪駆動のM xDriveがこの850Nmを余すことなく路面に伝えるため、0-100km/h加速は異次元の領域に入ります。さらにダウンパイプ等の交換を前提としたStage2では、「740ps / 900Nm」という凄まじいモンスターセダンへと変貌します。
3. M5専用バブリング設定:純正サウンドの「延長・大音量化」も自由自在
F90 M5は、純正状態でもスポーツモード等に入れると「パラパラ…」と上品なバブリング音が鳴るように設定されています。しかし、多くのオーナー様からは「もう少し音が大きければ」「もっと長く鳴らしたい」という声をよくいただきます。
当店のバブリング施工では、この「純正のバブリング制御データを書き換え、音量や長さを自由に調整する」ことが可能です。
F90 M5(S63エンジン)のバブリングサウンドは、大排気量V8ならではのドロドロとした重低音に、地を這うような野太い破裂音が加わり、エグゼクティブセダンの皮を被ったレーシングカーとしての本性を露わにします。
海外の施工事例(参考)
S63エンジンのバブリングサウンドのイメージとして、海外のチューニング事例が非常に参考になります。
【参考:YouTube】
4. 施工料金とご来店からの流れ
BMW F90 M5における標準的な施工料金と作業時間は以下の通りです。
- バブリング単体施工: 200,000円(税込)
- ECUチューニング(Stage 1): 230,000円(税込)
- ECUチューニング(Stage 2): 260,000円(税込)
- 作業時間の目安: 約2,3時間(年式により日帰り施工可能)
※価格は変動する可能性がございます。詳しくはお問合せください。
※2026年現在、年式により特殊アンロック解除が必要な場合がございます。詳しくはお問い合わせください。
※TCUメニューも別途設けております。詳しくはお問い合わせください。
【施工当日の流れ】
- 車両診断: 診断機(OBD2)を接続し、車両にエラーコードや不具合がないか入念にチェックします。
- 純正データ読み込み: 万が一に備え、お客様の純正ECUデータをバックアップします。
- データ作成・書き込み: F90専用に最適化されたチューニングデータおよびバブリングデータをインストールします。
- テスト走行・確認: 実際にテスト走行を行い、エラーが出ないか、意図したサウンドや加速感になっているかを確認し、納車となります。
5. プロが教える!チューニング後の推奨メンテナンス
700馬力以上のパワーと重量級ボディの組み合わせは、車体各部へ大きな負担をかけます。施工後は純正状態以上にシビアな熱対策とオイル管理が求められます。
- ハイグレードなエンジンオイルの徹底管理: V8ツインターボは非常に大きな熱を発生します。タービンとエンジン内部を保護するため、3,000km〜5,000km毎の定期的な高品質オイルへの交換が必須となります。
- M xDrive(4WDシステム)等の油脂類交換: 900Nm近い大トルクを四輪に配分するため、トランスファーやデフ、8速ATのオイル管理が駆動系保護の絶対条件となります。
- スパークプラグの熱価アップ: 燃焼温度とブースト圧が大幅に上がるため、失火(ミスファイア)を防ぐために1番手ほど熱価を上げたレーシングプラグへの交換をおすすめしています。
6. よくある質問(Q&A)
A. 音量と排ガス規定をクリアしていれば車検には通ります。
当店のバブリングは純正触媒を残したまま(ストレートパイプ化せず)施工可能なセッティングを行っております。Efficientモード等で可変バルブを閉じている状態の際、近接排気騒音の基準を満たしていれば問題ありません。
A. 適切なメンテナンスを行っていれば、通常走行での故障リスクは低いです。
F90に採用されているMステップトロニック(8速AT)やM xDriveは非常に強固に作られていますが、大トルクでのゼロ発進ローンチコントロールなどを多用すると、駆動系(特にドライブシャフトやトランスファー)への負担が蓄積します。当店では駆動系への急激な衝撃を防ぐため、トルクの立ち上がりを滑らかに制御するデータを作成しています。
A. ディーラー入庫自体は可能ですが、メーカー保証の対象外となる可能性が高いです。
また、最新のBMWはセキュリティが厳しく、ディーラーでのプログラム更新によってECUデータが純正に上書きされてしまう(チューニングが消える)場合があります。その際のリインストール(再施工)については、別途サポート料金にて対応しております。
7. まとめ
BMW F90 M5は、ECUチューニングを行うことで「Stage1で700馬力」という驚異のスペックを手に入れ、ベースグレードからでも最上位のCSを完全に凌駕する究極のエグゼクティブ・スポーツセダンへと進化します。
「そもそもECUチューニングやバブリングって車にどんな影響があるの?」「もっと詳しい仕組みを知りたい」という方は、以下の総合記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
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